物流企業アマゾン

潜入ルポ アマゾン・ドット・コム (朝日文庫)

潜入ルポ アマゾン・ドット・コム (朝日文庫)

世の中はIT、ITと持てはやすが、どこまで行ってもITは手段・手法にすぎない。
IT企業と言えど現実の世界と無縁なわけではなく、結局どう収益化するかはどこまでも泥臭いビジネスの問題だ。


そんな観点から、書店でふと目にとまったのがこの本。


以下はアマゾンの内容紹介から

・・・アマゾンジャパンの物流倉庫に、ひとりのジャーナリストが潜入する。厳しいノルマとコンピュータによる徹底的な管理。そしてアマゾン社員を頂点とする「カースト制度」のなか、著者が目にした「あるもの」とは……。2005年に出版された単行本を大幅加筆した衝撃のノンフィクション。驚異的な成長の裏に隠された真実に迫る。・・・

タイトルにも「潜入ルポ」とあるように、サヨク系のニオイがあちこちに漂うのがちょっとうっとおしかったりするが、そこを捨象して読んでいくと、実際にアマゾンの物流倉庫にアルバイトとして入り込み、そこで働きながら日々見聞きした情報はなかなか興味深い。


昨年まで自前の物流倉庫を持とうとしなかった楽天ブックスに対し、アマゾンは当初から巨額の物流投資を行ってきたことで知られる。
そういう意味では、ネット企業としての側面と物流企業としての側面がアマゾンにはあると言っていい。


そして、(これはアマゾンに限らないことだが)この著者のように「物流」に着目すると、その企業のビジネスモデルの根幹が見えてくるから面白い。


社会の表層を滑っていく流行としてのITではなく、ビジネスとしてのITを捉えたいと思うならこの本は絶対オススメだ。


※その他、下記の本も同じ理由からオススメ(こっちは小説ですが)。

ラストワンマイル (新潮文庫)

ラストワンマイル (新潮文庫)