文学

"冷たい校舎の時は止まる"再読

辻村深月の短編集「ロードムービー」が新書版で出た。 ロードムービー (講談社ノベルス)作者: 辻村深月出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/09/07メディア: 新書 クリック: 13回この商品を含むブログ (14件) を見る この作品は、デビュー作「冷たい校舎の時…

名前探しの放課後

名前探しの放課後(上) (講談社文庫)作者: 辻村深月出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/09/15メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 17回この商品を含むブログ (38件) を見る 名前探しの放課後(下) (講談社文庫)作者: 辻村深月出版社/メーカー: 講談社発売日: …

真夏の光の降りそそぐ場所で

明日の朝食に食べるリンゴを買いに、「5分で戻るわ」と出かけた彼女は、それっきり帰ってこなかった。 ジャンプ (光文社文庫)作者: 佐藤正午出版社/メーカー: 光文社発売日: 2002/10メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 29回この商品を含むブログ (61件) を見…

世界を救うことは可能か

タイムスリップをめぐる出会いと別離。その物語はいつも読む者に切ない感情を呼び起こす。 それは、現代――交通手段と通信手段が著しく発達し、空間を隔てるということがもはや絶対的な障壁ではなくなった――において、今なお容易に(絶対に!?)越えることので…

東野圭吾「秘密」

秘密 (文春文庫)作者: 東野圭吾出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2001/05メディア: 文庫購入: 30人 クリック: 219回この商品を含むブログ (405件) を見る 広末涼子主演で映画にもなったので、ご存知の方も多いことだろう。 東野圭吾を読みはじめて数ヶ月た…

時生(トキオ)

時生 (講談社文庫)作者: 東野圭吾出版社/メーカー: 講談社発売日: 2005/08/12メディア: 文庫購入: 8人 クリック: 84回この商品を含むブログ (222件) を見る プロローグは、病室に立ち尽くす一組の夫婦。 彼らの高校生になる息子は、グレゴリウス症候群という…

そして問題は解決しない

本当にそうだ。重松さんの作品の登場人物は誰も悪くない。みんな普通の人で、それぞれが問題を抱えている。 そして問題は解決しない。問題を抱えて生きて来て、新たな問題に直面し、なんとか乗り越えるも、また新たな問題に向かって生きてゆく。 夢と現実。…

子ども「とともに」生きること

重松清の「ナイフ」(新潮文庫)を読んだ。全篇がいじめを題材にとった重い短編集だ。 ナイフ (新潮文庫)作者: 重松清出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2000/06/28メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 162回この商品を含むブログ (159件) を見る いじめられて…

東野圭吾

この頃ブログの更新がずいぶん間延びしている。 実は、東野圭吾の小説にはまっているのだ。 もともとぼくのブログ執筆はすべて電車の中なので、本を読んでいるとブログが書けないし、ブログを書いていると本が読めない。寝てるとどちらもできない。 なかなか…

自分という牢獄

茂木健一郎によれば、「文学とはため息の芸術である」と言う(「クオリア降臨」より)。芝居やドラマも同じなのだろう。「新選組!」を観ていると、そんな気になる。 たとえば新選組の初代局長芹沢鴨。 多くの新選組ものでは酒好き女好きで無法者の巨漢とし…

クオリア降臨

茂木健一郎「クオリア降臨」の一節、 世界の歴史を振り返ってみれば、そこに現れるのは数限りない悲惨であり、不運であり、断腸である。…(中略)およそこの世に生を受けた人間には、世界のありさまを直視しようという姿勢がある限り、もののあはれを感ずる…